かくれんぼ

4/14
前へ
/64ページ
次へ
とりあえず、隠れられる場所を探すか―。 辺りを見回して、驚いた。 「…ここって普通の道路じゃない…?」 見れば、人通りも車通りも全くない、大通りだった。 …おかしい。私の帰路にこんな道ない。 そして隠れられる場所などほとんど無い。 「…嘘でしょ…?」 どうして、いつの間に―? 私の思考がパニックに陥る。 そんな時、子供達の声が聞こえた。 「かっくれんぼ かっくれんぼ いったしましょう 鬼がみんなを見ぃつけたら 後でみんな食べちゃうぞぉ 鬼が降参しったならば みんなが後で食べちゃいなぁ 鬼は僕ら 獲物はユイ 必ず見つけて食べたげるっ!! ユイはお早く隠れなさぁい」 不気味な歌だなぁ…。 数を数えたのに、わざわざ歌うのか。 大通りの真ん中、ポツンと立ってそんな事を考えていると 「ユーイ姉ちゃんもぅいいかぁい?」 と聞こえた。 私は焦りながら「まぁだだよっ!」と、答えた。 すると、またさっきの歌が聞こえてきた。 《お早く隠れなさい…食べちゃうぞ…》か。 食べるってどういう意味なんだろう…。 とりあえず、早く隠れよう。 高校生が負けるなんて、恥ずかしいしね。 見つからないでやる! 歌に気を取られたせいか…。 私は目の前に広がる光景を、不自然だと思わなくなっていた。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加