鈍感

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辛うじて明かりはついたものの……。 「あっ」 体勢を整えようと踏み出したはずの左足のヒールが滑る。 何かに掴まろうと手を伸ばすけど何も掴めるものはなくて。 スローモーションのように体が傾いていくのがわかった。 痛い! と言う準備をして体を固くして目を閉じる。 どの道真っ暗なんだけど。 しかし痛みはおろか固い感触もなく、なんだか温かく甘い香りに包まれた。 新作の服の上に倒れこんだのかと思いきや、服にしては硬くて温かい。 「間に合った……」 .
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