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やっと我に返って店長を突き放す。
ようやく空気を吸うことが出来た。
思わず床に座り込む。
立ち上がれない私の代わりに、店長がパチンと倉庫の灯りを点けてくれた。
心臓が飛び出さないように胸を押さえて店長を見ると、参ったなと呟きながら髪を掻き揚げて横を向いていた。
隠しているつもりかもしれないけど、店長の頬も耳も赤い。
それに髪を掻き揚げるのは動揺したときの店長の癖。
きっと本人は気づいてないだろうけど。
まだ緒方店長の唇の感触が残っていてうまく言葉が出てきそうにない。
柔らかくて少し薄めの唇は、私のそれよりも温かかった。
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