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でも、なぜ?
唇にざらりとした舌の感触がしたところまで思い出して、思わず頭を振って払いのける。
「ごめん……」
沈黙を破ったのは緒方店長だった。
また髪を掻き揚げてこちらに向き直る。
「ずっと……、君に触れたかった。君にキスしたかった。だから、抱きとめた瞬間我慢できなくなった。ごめん」
どういうこと?
緒方店長は長い間想っている人がいるって言っていたのに。
そのとき、少なからず私は傷ついたのに。
そして一生懸命諦めようとしたのに。
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