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「女神先輩、遅かったですね」
少し落ち着いてから新作を持ってフロアに戻ると、のぞみちゃんが手伝おうと駆け寄ってきた。
「結構私好みが多くて迷っちゃった」
動揺を悟られないようにいつも以上の笑顔で答えた。
口紅が取れていないか確認してくるのを忘れたことを思い出して思わず俯く。
のぞみちゃんはのんびりやなわりに、そういうところは敏感だから注意しなくちゃいけない。
「先輩が出て行った後、店長もいなくなったから何かあったのかと思いましたよ」
さらっと、言っているが恐るべし観察力。
「倉庫で転びそうになって助けてもらったくらいかな、ハハハッ」
我ながら嘘くさい笑いが零れた。
でも一応嘘じゃないし、かんぐられる前に予防線を張っておこう。
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