プロローグ

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面倒臭いと、俺は答えた。 犠牲から目を逸らして。 悲鳴に耳を塞いで。 悲劇を忘れて。 助けての叫びに背を向けた。 そして無様に後悔を繰り返す。 何故助けなかったのかと、後になって思うんだ。 力があるのになにもしない?違う。 “力があるから”何もできない。 人は、それを罪と呼ぶ。 それでも俺は答えよう。 「面倒臭い」と。 嗚呼、俺は喜んで罪人であり続けよう。 差し出された手を振り払って、変わることなく立ち止まることを選び続ける。
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