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――ガラッ。
教室のドアを勢い良く開けると、クラスメートの視線が一気に真美へと向けられた。
視線を向けすぐ逸らした者も居るが、しっとりと髪が濡れた真美を唖然とした表情で見ている者が大半だ。
教室の隅では、取り巻きに囲まれている加奈子が、こちらを見て満足そうにクスクスと笑っている。
あぁ、心底馬鹿馬鹿しい。
そんな加奈子を見て、更にサボる気が倍増した真美はスタスタと自分の席へ行き、鞄を引ったくると、
再び、自分が先程入って来たドアへと向かった。
――――――――
「あれぇ?真美ちゃん帰っちゃうんですかぁ?」
下駄箱まで歩いてくると、ふいに誰かに声をかけられた。
声がした方向に顔を向けると、クラスメートの長谷川愛(ハセガワアイ)が立っていた。
「まぁね。サボり。
どっかの誰かさんに水ぶっかけられちゃったしね。
「あはは。また橘さんかぁ。
彼女も飽きないねぇ。」
この長谷川愛は、この学校で臆さず真美へ接してくる数少ない人間だ。
この学校…とまではいかないが、少なくともクラスで真美と仲良くすると加奈子に目をつけられてしまうので、
前に一度、真美も親切心で、
『私と話すとイジメられちゃうよ?』
と忠告してあげたのだが、その時、
『うん、別にいいよ。』
の一言で片付けられてしまったのだ。
あまりにも、アッサリ肯定されてしまったので当時の真美も驚いたのだが、
愛はあれから度々声をかけてくれるので少なからず感謝はしていた。
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