46人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうだな、私の父は確かにブロンドヘアーでブルーの瞳、顔立ちもそんなんだし、家族構成も間違いない、確かに両親の友人を私は殺した、信心深いのも事実だ、だが...父は信心深いが故に神父の服装なんかしなかったよ偽物野郎。」
私は静かに席を立ち上がって言った。
「クククッ...そりゃあそうだろうなぁ?お前の親父は神を信じるが神に仕える度胸のない臆病者、神に仕える聖職より美しい妻と娘といる自らの欲望を選んだ。妻を生け贄に捧げたくなくて自分達の友人を娘に殺させたんだ。」
そう言いながら目の前の男は父に瓜二つの姿から、似ても似つかない化け物に姿を変えた。
全身が灰色の肌、赤い瞳に鋭い牙と爪、とがった耳、上半身は人間の男で下は黒い体毛に覆われた獣のようで、牛に似た尻尾を持ち、背中からは全身を覆えるくらいの大きな蝙蝠に似た黒い翼が生えていた。
「天...使、何なのこいつ...!?」
綾は震える声で言いながら私の背で隠れつつ、目の前の初めて見る不気味な生命体を見ている。
「私にもわからない...でも、考えるのは後にした方がいいみたいだ。」
私は今にも襲いかかってきそうな化け物を見つめて言う。
「我が名はゲリラ。偉大にして最強の集団アルメデス特攻隊長の一人、我らが偉大なるイデア様の為、今は亡き貴様の母の変わりに後ろの娘香月 綾をもらい受ける!」
化け物は自らをゲリラと名乗り、律儀に事のいきさつを説明してから私達に襲いかかって来た。
「きゃあぁぁっ!?」
綾は私の背中にしがみついたまま悲鳴を上げる。
「綾っ!私が合図したら教室から出るぞ!」
私は綾の返事を待たず、迫り来るゲリラに自分の机を思いきり蹴り上げてぶつけた。
机は軽い羽のように舞い上がってゲリラに勢いよくぶつかり、ゲリラは黒板まで軽々と吹っ飛んだ。
私はその隙に教室の扉をすかさず蹴り破る。
バキバキィッ!
「行くぞ、綾!」
私は綾の手を掴んで廊下に出るなり、目の前の窓を開けた。
「ちょっ、天使どうするつもり!無理よこんな高い所から!」
「いいから早く私におぶされ!」
戸惑う綾を背負って私は何の躊躇いもなく窓から飛び降りた。
「きゃあぁぁっ!」
綾の二度目の悲鳴が上がる中、私達は軽い足音を立ててグラウンドの地面に着地した。
「綾、早く今のうちに逃げよう!」
最初のコメントを投稿しよう!