はぢめてのばいと(初級編)

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ツカツカと廊下を歩く、後ろからはトコトコと後をついてくる彼女の足音。 寝室を出るとそこにはやや開けた廊下になっており、対面にもう一部屋。 その隣にバスルームとトイレ。 廊下の両端に玄関とリビング。 さらにリビングからもう二部屋につながっているという造りになっている。 一人暮らしにはいささか大きい気もしないでもないが、まぁ建てちゃったモンは仕方ない。 そのまま彼女を連れてリビングへ。 「今、何か作るから悪いんだけど少し待っててくれるかな?」 言いながらソファを指差す。 「あ、はい」 おとなしく座ってくれる彼女。 「さてさて、何を作りましょうかねー」 独り言を呟いて冷蔵庫を開く。 …料理する時につい喋っちゃうのは気にしないでくれ。 クセなんだ…。 さて、冷蔵庫の中身だが…困った事に、ビールしか…無い。 参った、しばらく空ける予定で全部処分しちゃったんだっけ? 「うー…」 他には卵やらなんやら、当たり障りのない食材、か。 「ま、無いよりゃマシかね」 無いものに文句を言ってもしょうがないので、とりあえず卵とベーコンを手に冷蔵庫を閉めるのだった。 「えっと、何かキライな物とかあるかな?あったら抜いちゃうけど」 「い、いえ!特に好き嫌いは無いです!」 キョロキョロしていた彼女がビクっとしてこちらを見た。 物珍しいのかね? そんな疑問を持ちながらもフライパンを加熱。 まずは強火で数秒温め一気に全体を加熱する。 すぐに弱火にし、そこに卵を二つ落とす。 そのフライパンに蓋を乗せ別のフライパンへ。 こちらには厚切りにしたベーコンを最初からのせ、火をかけると同時に多めのオリーブオイルをかける。 焼き上がるまでの時間にトーストを作り、同時にインスタントではあるがコンソメスープにお湯を注ぐ。 んー、材料無いから仕方ないんだけど…。 人に出す料理がこれだけってのは少々情けないな…。 ちょっと涙目になりながらもフライパンの確認は忘れない。
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