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「……の…あの…」
むぁ、まだ眠いですよ…。
いやむしろ寝てますよ…。
「…あの…」
ひさびさに寝たんでもう少し寝たいですよ…。
誰かに声をかけられている様だが、寝ぼけたオレはまともに返事すらしない。
近くに漂う甘い香りに誘われ、そのまま再び眠りにつこうとする。
…いや待て、甘い香りだと…?
「あのー…」
ベッドに突っ伏したまま、顔だけを横に向けるとそこには、不安そうな顔でこちらを覗きこむ彼女の顔が見えた。
「ぁー、良かった、目ぇ覚めたんだね」
ぷぁぁっ、と軽い欠伸をしながら背伸びをする。
いかん、まだ眠いなぁ。
やっぱ酒飲んでないと眠りが深いな、今度から寝酒は控えめにしとこ。
オレが寝酒の有用性について考察していると、彼女が恐る恐る声をかけてきた。
「あの、ここは一体…あと、アナタは…?」
「それはもっともな疑問だと思うんだが、まず頼みがある」
そこで一旦区切り、再び口を開く。
「とりあえず服着てくれ」
うん、眠気が覚めるほどいい乳が目の前にあるんだ。
でも常にそんなもん晒されてたら落ち着いて会話もできんわ。
むしろ抑えつけたウルフさんが出てくるわ。
「は、はい、すいません」
別に裸を晒しているのが恥ずかしい訳ではないらしいが、申し訳なさそうな顔で彼女が言う。
「あの、ところで…私の服と、鎧は…」
そういえば、見つけた時にはもう半裸だったよな。
「あー、服ね。オレが君を見つけ時にはボロボロだったんだけどどうしよう」
困ったな、女性用の服なんか持ってないぞ。
いや持ってたら違う意味で困った事になりかねないんだが。
「んー…とりあえずオレの服でもいいかな?」
「は、はい…」
戸惑いながらも彼女は答えた。
彼女のために着替えを取りに行きながらふと時計を確認する。
………4時、だと?
何でこんな時間に。
ちゅーか眠いワケだ。
仕事でもなきゃ寝てる時間だもんな。
ま、今さらまた寝ろとかも言えないんだけどねー。
脳内会議をしながらクローゼットを漁る。
うん、とりあえず適当に着せておこうか。
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