はぢめてのばいと(初級編)

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とりあえず彼女に渡したのはカーゴパンツにパーカー。 下着まではさすがに持ってないので直接着てもらう。 「あ、ゴメンちょっと待って。服着る前にケガだけ見せてくれるかな」 パーカーを羽織ろうとしていた彼女を制止し、声をかける。 「は、はい」 少し驚いた様な表情で彼女が答えた。 「昨日見た限りじゃ大事はなさそうだったんだけど、一応ね」 そう言いながらオレは彼女の傷を見る。 いや、傷を見てるんだよ?ホントだよ? やはり特に深い傷などは見当たらない。 「特に痛いとことかはあるかな?」 「いえ、大丈夫です…」 首の後ろを赤くしながら彼女が答える。 さすがにこの距離で裸を見られるのはさすがに恥ずかしいらしい。 「そか、よかった。でも後で一応消毒だけはさせてもらうね?」 消毒?と首をかしげる彼女。 浅い傷でも酷くなる時があるからそうならない様に処置するんだよ、と伝えパーカーを羽織らせる。 「しかし、やっぱりオレのじゃでかいな」 何かこう、一生懸命背伸びした子供みたいになっちゃってる彼女を見ながら呟いた。 「さてと、着替えも終わった事だし質問に答えようか。でもオレの質問にも答えてもらうよ?」 そう言った瞬間… ぐぎゅるるるるるっ! と発情期真っ盛りのライオンの唸り声の様な音が響いた。 …彼女の腹から。 「…ぷはっ!」 思わず笑ってしまった。 「お腹、減った?」 「…はい…」 耳まで真っ赤にした彼女が俯きながら答える。 「とりあえずお話はゴハン食べてからだね」 微笑みかけながら彼女の手を取り、オレは立ち上がった。 たしかに、食わないで寝たからオレも腹減ったな、 冷蔵庫の中、今なに入ってたっけなー。 そんな事を考えながら彼女を連れて寝室を後にするのだった。
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