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「で、何があったんや?」
「あ……
…言わなあかん?」
ビール片手に
伏し目がちで呟く。
「話したほうが絶対楽になるで」
「・・・・・・・」
菅は無言になる。
だが、目にだんだん涙の粒が
溜まりだした。
「お、おい、菅…」
「ごめん、
想い出し泣きしたったわ」
無理矢理笑い顔を作ろうとして、
顔をくしゃくしゃにする。
本当に素直や。
貴とは大違いやなぁ、
なんて思ったりして。
「あんなぁ、
藤原の家を出た後なぁ…」
菅はぽつりぽつりと語りだした。
その内容は聞いてるこっちの胸まで痛んできた。
「…俺、甘えてたんよ。
うーじなら何でも許してくれるって…」
「でも、宇治原がそんな態度に出るとはなぁ」
普段の宇治原は
俺らが阿保なことやってたって、
ややクールにその場を見つめてる
ただ、菅が一緒にいるときは別人のように表情豊かになり幸せそうに微笑む。
そんなあいつが、
菅を許さないなんて考えられんかった。
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