過去との対話と過去からの逃亡

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案の定、アントニオ公は立ち上がり、女王に詰め寄った アントニオ「へ、陛下!あんまりなご処分!こんな、下々の言うことを真に受けるなんて。こんな事で高位の貴族である私を簡単に裁いて、諸侯が黙っているとでも?」 女王はそれを嘲笑うかの様に笑みを浮かべた 女王「諸侯はむしろ喜ぶかと思うが?汝の悪行は前々から目に余ると思っていたのじゃ。神殿の下働きの者に男女問わず手をつけ、産まれた子供を部下に押し付け…」 アントニオ「…陛下…しかし証拠は…」 女王はさらに微笑んだ 女王「臣下として我に使えて約10年…我が天候や作柄、経済を予言するだけなので、忘れてしもうたかもしれんの」 女王はゆっくり立ち上がり言った 女王「我はこの国はじまって以来の神子姫。視ようと思えば過去、現在、未来、人の心の中までも…視る目を持っているが故に、今、この玉座に座っているのじゃ。証拠等我には茶番に過ぎぬ。汝には王家の一員である資格などない」 アントニオ公はうなだれて、小姓に連れ去られた
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