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「なんで俺が僧侶萌えだと分かったんだよぉ!?」
「知らないよ!? 僕は僧侶っぽい顔の奴が居たから助けてくれるのかと思ってぇ!!」
「僧侶が皆助けると思うなよぉぉぉぉ!? 俺は見習いなんだよ!!」
「なーに言ってんの!! 僧侶は勇者を回復する。これ常識だよッッッ!!」
「どこの世界の常識だぁ!?」
「僕の世界だよ!!!!」
「え」
「え」
『え?』
ハモった。恐ろしいほどシンクロしたよ。
しかし今、このクソ勇者は何て言った? 僕の世界だと。
つまりアレか。自分は異世界から来た勇者だとでも言いたいのか。
「上等だ……その常識を塗り替えてやるぜぇ……」
ポキ、ポキ、と指の関節を擦って鳴らしながら、クソ勇者に近付いていく。
「今度からお前の中では勇者は僧侶の召し使いとしておけっ!!」
「た、戦うしかないの!? 折角この世界に良い人材を捜しに来たのにいきなり僧侶に肉弾戦仕掛けられるとかぁ……」
少し涙目になる勇者。
不覚にも可愛いと思ってしまい、
「……おい、話せよ」
「へ?」
「事情が、有るんだろ? この僧侶様が聞いてやるよ。拾うかどうかは別として」
「……感激。僧侶っていうか、ただの少し仲間思い(笑)のDQNって感じがするけど……僕、話すよ。天国の父さん、母さん。見守ってください。そして僕に話す力を!!」
口が自由なんだから元々話す力は有ると思うが、とツッコミを入れた所で興醒めしたようで、普通に語りはじめた。
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