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蒼白い 霧のかかる夜に 鏡は妖しく輝く テラテラと鏡面は ぼやけた月に揺めき そこに真を映す ひたひたと足音 密やかな吐息 腕を伸ばす 指先が触れる 冷たい 蒼白い君 現実がぼやけたなら 幻もなにもない 朧の中では全てがまやかし 私は私だから 君は君 私じゃない君は君でしかない 私を私とする確証も 触れあう熱もなく 平面をなぞる 君は微笑む 反転した空を指さしながら 薄く開く唇と 覗く歯列 もっと笑って・・ 割れた頬に触れる 月の夜だけの 二人の夢 うつつの中のゆらめき 浅い幻 テラテラと鏡面 ひたひたと足音 ひとつ・・ .
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