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エントランスへ続く道をひたすら歩く。
照明は充分に設けられていて、今まで住んでいた居住区よりも明るいと感じるほどだ。
「なんて言えばいいか、もう少し居住区の生活レベルを上げてもらいたいなぁ」
居住区の街灯がもっと増えれば、きっとアラガミが侵入した時にも見つけやすいと思うんだけど。
そうすれば、きっと今までよりもアラガミ被害が少なくなるのに。
「やっぱり、フェンリルってケチだよね」
不信感のもやもやが胸のあたりに広がるようで、ボクは大きくため息をついた。
そして、顔をあげて先を見ると、通路の先でひとりの女性が立っているのが見える。
先日会ったときと同じ、白いスーツを着こなした女性。
今後はボクの上司となる人、雨宮ツバキさん。
「ふむ、時間通りか。まぁ、時間にルーズな奴が多いここでは及第点だな」
雨宮さんは時間を確認すると、目の前に立ったボクにそう告げた。
いま「時間にルーズ」って言ったよね?
その言葉だけで嫌なイメージが膨れだす。
もしかして、先輩になるゴッドイーターの人たちって柄が悪いの?
新人をパシリにしたり、「可愛がる」とか言って苛めたりする人たちなのかな?
「うぅ……」
「ん? どうした?」
「あの、雨宮さん。ひとつ質問させてもらってもいいですか?」
どうしても気になったボクはそう切り出していた。
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