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作戦会議の夜は明けた。
師匠フリンの葬式以来に正装したロックテイルと、有り合わせだが葬式には出られるくらいに身なりを整えたアイゼルは、微妙な距離を保ったまま役所に赴いた。
宿屋は下宿人エリアルと日が昇る前から手伝いに来たマーズ少年に任せている。
夜が明ける前にマーズを宿屋に連れてきて、その足でトールを役所に連れて行ったアリスンが、役所のロビーに居た。
師弟契約の手続きは、全てアリスンが代筆していた。
役所の事務室から、髪を後ろに撫で付けた堅そうな中年男が書類と儀式の剣を手に出てきた。
「早く祭壇の間に来たまえ」
錬金術士ではないのに市民権を得ている唯一の男、官僚バロンなら、ロックも知っている。
確か、西の方の国で政争に敗れ、亡命してきた男だ。
法律知識や内務の実務能力を買われた特例で、今はガレスの一番弟子、魔女シェーラの配下になる。
シェーラといえば、1ヶ月前に散々傀儡人形で殴られた。
それが法務のトップだから大した国である。
アリスンが、バロンの隣に行き、何事か話している。
ブラッグが来るか確認しているのだろう。
やがて、アリスンはロックテイルたちに並んだ。
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