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祭壇の間は、部屋の前方に一段高いステージ部分があって、後は何もない。
「ブラッグの屋敷は、空間をねじ曲げる陣で、ちょっとした迷宮になっとるんだと。
呼び鈴鳴らして玄関で待ってても誰も出てこねぇし、窓から入った泥棒は揃って人体実験に使われているって話だ。
食器や家具が自ら生きてて、勝手に主人のために戸棚から出たり、家ン中走り回ったりしてるから、生身の召使もメイドも要らないッてよ」
羨ましいねぇ、と、ロックは話を締めくくった。
後ろに広い空間を残して、ロックとアイゼルは立っている。
脇にバロンが控え、他は部屋の外にいる。
低いステージ上に焼け焦げが浮いていくように魔方陣が描かれ始めた。
陣の中央に黒いマントと術士服の男が現れた。
「……は」
息を吐いたのは、受け止めないでやり過ごすためだ。
「誰だったか…」
バロンは黙って契約書と儀式の宝剣を差し出した。
「…ああ、妖猫の。
占術と心霊術か。妥当だな」
突然、宝剣から大きな火が吹いた。
「共通講義の知らせは役所に貼りだされるから、見落とさないように。以上」
術士服は後ろを向いた。
「えっ、もう終わり?」
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