3つの無理難題

4/6
前へ
/227ページ
次へ
「そうだな…ならば3つ課題を出そう」 ブラッグは食券を片手で捻りながら宙を見て言った。 「1つは、東の山脈にある隠れ里が秘蔵するという『ミョルニル』のレプリカの修繕だ。 噂では、今、魔力が尽きて神通力を失っているという」 トールは思わず言った。 「どうして知っているのですか!?」 「そうか…ならば、元通りにして持って来なさい」 「………」 ロックテイルは腕組みして後ろを向いてしまった。 アリスンは手を自分の腰に当ててニヤニヤしている。 「2つ目は…」 ブラッグは、なぜかアリスンをチラと見てからトールに向き直った。 「王の眼という魔道具がある。手に入れて来なさい」 「…何ですか、それは」 「それも調べたまえ」 何だろう、と疑問を持った顔になったのはアイゼルだけなので、有名なアイテムなのだろう。 「3つ目は、賢者の石を1つ持って来なさい」 「どのぐらいの大きさですか」 ブラッグは、左手の平を上に向けた。 平の上の宙に、六角水晶を黒くしたような材質感の、拳大の石が現れた。 触れようとしたトールの指先は、石をすり抜けた。 ブラッグは幻影を作り出していた。
/227ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加