34人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうだな…ならば3つ課題を出そう」
ブラッグは食券を片手で捻りながら宙を見て言った。
「1つは、東の山脈にある隠れ里が秘蔵するという『ミョルニル』のレプリカの修繕だ。
噂では、今、魔力が尽きて神通力を失っているという」
トールは思わず言った。
「どうして知っているのですか!?」
「そうか…ならば、元通りにして持って来なさい」
「………」
ロックテイルは腕組みして後ろを向いてしまった。
アリスンは手を自分の腰に当ててニヤニヤしている。
「2つ目は…」
ブラッグは、なぜかアリスンをチラと見てからトールに向き直った。
「王の眼という魔道具がある。手に入れて来なさい」
「…何ですか、それは」
「それも調べたまえ」
何だろう、と疑問を持った顔になったのはアイゼルだけなので、有名なアイテムなのだろう。
「3つ目は、賢者の石を1つ持って来なさい」
「どのぐらいの大きさですか」
ブラッグは、左手の平を上に向けた。
平の上の宙に、六角水晶を黒くしたような材質感の、拳大の石が現れた。
触れようとしたトールの指先は、石をすり抜けた。
ブラッグは幻影を作り出していた。
最初のコメントを投稿しよう!