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「「「函南くん、今までありがとうーっ!!!」」」
先生にお先にどうぞ、と促され教室に入った途端、パンパンというクラッカーの破裂音とともに、みんなは一斉に声をあげた。多少は予想していたけれど、驚きは隠せなかった。
クラッカーから飛び出る色とりどりの紙テープを頭にのせながら教室を見渡すと、教室の周りには折り紙でつくったわっかを繋げて作る鎖がひかれ、前の黒板には『悟史今までありがとう』の文字と、その周りまできれいにデコレーションしてあった。
「悟史、これ」
この1年半、一緒に過ごしてきた親友ともよべる存在になった折原直巳(おりはらなおみ)と笹原美祐(ささはらみひろ)が照れ臭そうに、花束と色紙を渡してくれた。
色紙には、もう書くところがないくらいクラスのみんなからのメッセージが書かれていた。真ん中には先生にからのメッセージ。
これだけの短期間に、よくこんなに用意ができたなと感心しながら、不覚にも涙ぐんでしまった。
目敏い直巳が気がつかない訳がなく。
「おい、悟史泣いてるぞ!『いつもクールぶってる悟史を泣かせてやろうぜ』作戦成功だ!」
「うっせぇ!!なんだ、その作戦!」
笑いが響く。
そして俺たちは、時間をつくってくれた先生に感謝しつつ、1限の間目一杯楽しんだ。
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