第二章 紅 真珠

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昨日の晶輝の様子から、自ずと察しがついた。 和珠は晶輝と衝突したのだ。 琥珀への想いのために…… 真っ直ぐぶつかり合える二人の姿を、少し羨ましいと感じてしまう。 「何はなくとも私闘も私闘でしょ?陛下が仲裁したんだけど。やっぱり立場が立場じゃない。今、和珠ってば謹慎中なのよ。まぁ三日間だけど」 「謹慎ですか!?」 思わず声を張り上げた私に、芬皖は煙管の先を突き付ける。 「真珠!アタシの代わりに叱ってやってくれない?今すぐ喝入れてやりたいんだけど。謹慎中は身内しか会えないでしょ!」 「……解りました」 大きな溜息と共に、私は了承する。 「『らしくないのよ、馬鹿』って、伝えてくれない?」 言葉とは裏腹に優しく微笑む芬皖の顔は、和珠に、というよりも私に言っているようで。 ――総て見透かされているような、そんな気がした―― 「芬皖、ありがとうございます」 そうだ。 内側に閉じこもる私等、私らしく無い。 立ち上がる私に、芬皖が笑いかける。 「あら、真珠が礼を言うなんて、明日は雨ね」 「いいえ、嵐が来ますよ」 別れ際の軽口に、心が暖まった気がした。
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