第二章 紅 真珠

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「秘める意味が何処にあるんだよッ!?」 食って掛かる和珠の瞳は強く、そして暗い。 振り払うように私を突き放すと、荒げた呼吸を調えた口元から言葉が落ちてきた。 「どうして、我慢するんだよ!なんで自分の気持ちを伝えてもいないのに諦められるんだよ!琥珀を目の前で掻っ攫われるのに、なんで何もしないんだよ!!」 「……踏み越えてはいけない領分を忘れたのですか?あくまで本分を棚に上げて陛下に想いを告げるだなどと、思い上がりも甚だしい!!徒に陛下の御心を乱してどうしようというのですか!?」 「だからッ!!兄貴も、晶輝も!!領分なんてそんなこと解りきって、それでも琥珀を想ってんだろうが!?」 「!?」 「どうして勝手に琥珀の気持ちを決め付けてるんだよ!?琥珀はまだ何も決めてないんだぞ!?」 「…」 「決めるのは琥珀だ!!俺達じゃ無いんだよ!!……ッで俺がこんな兄貴達を応援するような事言ってんだよッ!!」 頭を掻きむしる和珠に、一つの疑問をぶつけた。 「……それ、晶輝様に伝えていないのですか?」 「ッ?」 「『決めるのは琥珀だ!!…』ですよ」 和珠の瞳が大きく見開いた。
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