第二章 紅 真珠

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「……成る程……」 俯く和珠に、不可解だった二人の衝突に漸く合点がいった。 晶輝は竜だ。 竜は琉国の神獣にして、皇帝しか見(マミ)えぬ存在。 皆、晶輝を神と崇め畏(オソ)れているが。 和珠は晶輝を『神』ではなく、晶輝が望む『性分』を見てくれる僅かな友人でもあるのだ。 だからこそ、晶輝の言葉により感情的にぶつかってしまったのだろう。 和珠は本来、諍(イサカ)いを招くような人間ではない。 「……『らしくない』、ですね……」 戸惑う和珠に笑いかける。 「……芬皖からの伝言ですよ。」 「……そっか、そうだよな」 頭を振るう和珠の口元に笑みが零れる。 「晶輝とちゃんと話すよ……ありがとな、兄貴」 「いえ、私の方こそ目が覚めたようです……」 和珠の言葉で。 自身の憂いを吐露したことで。 「……このままでは、私もらしくありませんね」 不思議そうに見詰める和珠に微笑む。 「可愛い弟のためにも、全力で挑みましょう」 「!?」 「実の弟が恋敵ですか、燃えますね」 「なッ!?」 狼狽える和珠に宣戦布告すると、私は部屋を後にした。 軽くなった足取りと共に。
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