第二章 紅 真珠

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机に積み上げられた書簡の山を見上げながら、何故、このような暴挙を止められなかったのかと悔やんだ。 「……ごめんな、さい。でも、どうしても、これだけは、やらないと」 尚も立ち上がり椅子へと戻ろうとする琥珀の掌が、私の胸元にかかった。 「!?」 熱に浮かされ、零れる吐息が思わず抱き寄せた腕の中で爆ぜた。 「ッ/////……」 寝衣の襟から覗く白い肌から、目が離せない。 「……いけません!/////御身体に障ります!さぁ、後宮までお連れしましょう」 ――早く離れなければ! 血潮が波打ち、速まる動悸が本能を煽っていく。 理性を律するように、琥珀の掌を外そうとした刹那。 「……嫌ッ!…まだ、終わって無い!」 琥珀の腕に力が入り、私の顔を引き寄せた。 視線がぶつかる。 「///陛下ッ!?」 「ちゃんと、出来るわ!子供扱いなんてしないでッ!!」 濡れた瞳が。 揺れる黒髪が。 漏れた吐息が。 今、この腕の中にある――!! 「……そう、仰られるからには……」 琥珀の身体を強く抱き締める。 「……御自分が大人の女性であるという、自覚はありますよね?」 「……真珠////!?」
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