第二章 紅 真珠

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――― 長い夜が明けて、眩しい朝日が昇る。 微熱を押して朝儀に出席した琥珀の顔が、曇っている。 向けた視線を逸らされる様に、否応なしに昨晩の出来事が呼び覚まされた。 乱暴な告白だった。 でも、それでも。 この想いを伝えたことを悔やんで等いない…… ― 「……陛下!」 滞り無く朝儀を終えて退出しようとする琥珀を呼び止める。 皆の退出を見計らうと。 顔を赤らめ、俯く琥珀の元へ跪(ヒザマズ)き、その白い手に優しく口づけた。 「/////!?」 「昨晩の件、御許しを頂こうとは思いません。陛下を御慕いする気持ちに偽りはございませんから……」 琥珀の顔を見上げて微笑む。 「……どうぞ御覚悟を決めてくださいね、我が君」 「真珠ッ/////!?」」 貴女を振り向かせてみせましょう、きっと…… 動揺する琥珀の手を取り、共に退出した目の前に絽久が驚愕の表情を浮かべる。 「御引き止めして申し訳ございません。行ってらっしゃいませ」 恭しく頭を垂れる。 もう、迷わない。 絽久に不敵に微笑んで見せた。 宣戦布告。 ――存分に戦いましょう……愛する人を得るために。
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