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俺は黙り込んでいる成実をただ見守るしかなかった。
だが、成実は何かを決心したかの様に顔を上げて俺を見つめた。
はっきりしたいつもの成実の目だった。
『勇ちゃん…あのね…うちね…小学校5年生になったら引っ越しするの…』
「えっ?」
『だからこんな感じに…勇ちゃんと遊べなくなるの…』
「…」
俺は何も言えなかった。
『びっくりしたよね。ゴメンね!でもうち寂しくないよ。大丈夫だよ。』
そう言った成実だったが嘘をついていた事はすぐわかった。
本当はとても悲しんでいる。
俺には成実の事が何でもわかる。
悲しんでいる時にいつも見せる癖は、今になっても変わってはいなかった。
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