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パンドラの匣―
って、さっき説明したから良いとして
「なんじゃ、こりゃ?」
兎男が疑問を口にする。
「パンドラって、あのパンドラですよねぇ……」
「そもそも、こんないい加減な表記で届くのか?」
「なんかの悪戯ですかね?」
「送り主不明で届くのか?」
「爆発物かもしれませんよ。」
「『内容物:パンドラの匣』って、宅配員はなんて思うんだろう?」
「宅配便から離れて下さいよ」
疑問を持つポイントがおかしいだろ。
「あぁ、悪い。まぁ、とりあえず包みを開けようぜ?」
なんだ?この人は勇者なのか?
得体の知れない荷物、しかもパンドラの匣と名の付く荷物だ。
開けんじゃねぇよオーラが燦然と輝いているのは俺の見間違えでは無いだろう。
パンドラの匣=触れちゃダメ
という言葉だってあるぐらいだし、この状況で開けようなんて言うのはKYの極みと言って良いと思う。
「いや、言っちゃ駄目だろ。それに包装紙の方だよ、箱じゃなく。」
いや、何が起こるか分からないでしょう!?
「どんな箱か確かめなきゃいけないし、そもそも宅配便だろ?中身を見ないと意味が無いだろうが。送り主にも失礼だ。」
「その送り主が分からないから不安なんでしょう?」
「おっと、そうだった。」
兎男は口を歪めて笑った。
それに、この場合どちらかと言えば送り主の方が失礼だ
「まぁ、なんにしても開けてみないことには何も始まらないからな……とりあえず包みだけな?」
そう言いながらも、兎男は既に箱に手をかけている。
マジで?…あ~っ……もう
しょうがない。
兎男の強引さに押されて、俺も箱の前に立つ。
兎男が包装紙を剥がし始める。
「確かに、誰が送ったのかは気になるな。」
「ゼウスかもしれませんよ?」
「そりゃ、光栄だね。」
そう言いながら包み紙を外し終える。
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