~珈琲と兎とパンドラの匣~

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中から出てきたのは、古ぼけた木箱だった。 相当な年季物の様で所々黒ずんでいるが、見ただけで高価な代物だと分かる。 緻密なレリーフと目に鮮やかな金色の組み合わせが見る者を圧倒する雰囲気を醸し出していた 俺達は暫くその箱に魅入っていた。 「なんか…すごい物みたいですね…」 「あぁ、いい値段しそうだ」 「これ、どうするんです?」 「ん~、やっぱ開けないことには何とも……」 「やっぱり捨てますかね」 「イヤ、中身をみないと…」 「うん、決定!処分だ処分!」 「………………」 兎男がジト目でこちらを見てくる。 俺は全力で無視に徹する。 「やっぱり怪しいし、なんか生臭い匂いがしますしね!」 その言葉に兎男が反応する。 「そういえばそうだな、なんとなく鉄臭い………」 そう言うと2人は向かいあって黙り込む。 なんか、ヤバい気が…… 「ッゴホン!そうだな、兄ちゃんの言うとおりだ。こんな物開ける奴はKYの極みだ。」 分かって頂いて何よりです。 「じゃあ、俺はとりあえずコレを奥に置いてくるわ。」 そう言うと、兎男は店の奥に消えていった。 ………ふぅ………… 一難去ったか……… しかし、根本的な解決には至ってはいない。更なる策を講じる必要があるな。 クソ……一体どこの誰だ、こんな事するのは? 人様の健やかな日曜日を邪魔するなと言いたい。 おっと間違えた、怠惰なる日曜日だった。 そんなことを考えていると、店の入口が開いた。 「お~い、久しぶりに来たわよ~ッて、アレ?」 店内に入って来たのは「超」を頭に3回付けてやっと釣り合う程の美人だった。 髪はブラウンで、軽くウェーブしているのを後ろで一つにまとめている。 肌は透き通るように白く、きめ細かい。それとは対照的な漆黒の瞳が肌の白さをより一層際立たせている。 髪の色より少し薄い、ベージュのロングコートをボタンを留めずに羽織っていて、その下は黒い長袖に、少し青が入ったチュニック。チェックのスカートに黒のレギンスと言う服装なのだが……… 何より、スタイルがとんでもなくイイ。 コートごしでも、そのラインが見て取れる。 恐らく道行く男は全員振り返るだろう。 それ程の女性だった。
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