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プロローグ
※ゲームブック版と小説版をきんどるにしました。
気がつくと空に浮かんでいた。
一体何が起こっているのだろう?
視線を下に向けると、髪の長いセーラー服姿の女の子が5メートルほど下の歩道にうつ伏せで倒れていた。
あのセーラー服、見覚えがある。
近くで停まっていた車からおじいさんが慌てて降りてくると、倒れている女の子に駆け寄る。
「大丈夫ですか!?」
助け起こされて女の子の顔が見えた。
あっ!
それは私だった。
17年間見てきた顔を誰かと見間違うわけはない。
どうやらあの車にひかれてしまったらしい。
じゃあ、この浮かんでいる体は霊体?
周りに集まってきた人たちの1人が、携帯でどこかに電話をしている。
しばらくして、けたたましいサイレンを鳴らしながら救急車が混んだ車の間をぬって到着した。
降りてきた2人の救急隊によって私はタンカに乗せられ、またサイレンを鳴らしながら救急車が走り去っていく。
お父さん、お母さん、ごめんなさい……。
そして、信治。
彼とは1年近く付き合った。
私をとても大事にしてくれて、会えない日には必ず電話やメールをくれた。
付き合って1周年の記念日には、2人で旅行に行こうと決めていたのに……。
私はその日が楽しみで仕方がなかった。
旅立つ前にもう1度だけ会いたい!
信治の顔を思い浮かべた瞬間、大学に続く道を歩いている信治の姿が目に飛び込んでくる。
凄い、一瞬で移動しちゃった!
とても便利な能力が使えるようになっていることに驚く。
浮遊しながら信治を見つめていると、やがて携帯を取り出して、誰かと話し始めた。
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