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まだ少し肌寒さを感じる春
海岸が近くにあり、木が鬱蒼(うっそう)と生い茂っている場所に"立ち入り禁止"の板が立てられた1本の道らしきものがある。
その道を突き進むと木が次第に切り開かれて行き……、スチータスが一面に広がったなんとも幻想的な場所へとたどり着いた。
そこは、小学生の男の子2人と女の子の秘密の場所で、毎日のように遊んでいた。
「ねぇ、サキ。
この花知ってる?」
少しくせっ毛で色素が薄い髪をした男の子はスチータスに優しく触れながら女の子に言う。
「ここでこの花を植えると願いを叶えてくれるんだって…」
「んな事あるわけないだろ」
男の子の言うことに、短髪で黒髪の男の子が何故か少しむきになりながら突っかかるような物言いをする。
「レンは何かお願い事あるの?」
柔らかそうなふんわりとしたストレートの髪に黒目がちな瞳をした女の子が聞く。
「……まだ決まってないかな。」
そう言った、男の子の瞳はどこか悲しげな色をしていた………。
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