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「お~い?」
俺の一声で
どこからともなく現れたお付きの者達が足元にひざまづいた。
「なぁ…
それ、もうやめない?」
「で、でも…ユノユノ様…」
「あぁ、わかった!
じゃ、命令だ!
今から俺の前でひざまづくの禁止!」
「ユノユノ様…そんな…」
「気にするな…
お父様もお母様もこの城には滅多に帰って来ないから…
それとも、俺の命令が聞けないの?」
「ユノユノ様…」
「ほら、みんな、頭上げてくれよ…?
俺、これから出掛けっから…」
「どちらへ…?」
「…丘!
…着替え頼む…」
「ははぁ~」
服を脱がす者、着せる者…
あっと言う間に旅仕度が整った…
「馬車のご用意が出来ております。」
御者が恭しくお辞儀をする…
宝石が散りばめられた金色の馬車から
シュルシュルと俺の足元まで真紅の絨毯が伸びた。
「これからは、堅苦しいの禁止だから…」
御者の肩をポンと叩き
「…んじゃ行ってくっから…」
坐り心地の良いシートにドッカリと腰を下ろすと
クワ~っと伸びをして足を投げ出した。
。
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