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「…ところで、丘へはどのような御用で…?」
ゴソゴソとシートを跨ぎチンマリと俺の前に座る…
「ん?
なんか…探せって言われたんだよなぁ…」
「誰にですか?」
「ん~…わかんねぇ…」
「はい…?」
「なんか…お告げ的な…?」
「お告げ…?
…で…何をですか?」
「…知るかよ?」
「ぼ?…まさか…」
「行けば分かるんじゃね?」
「はぁ~…
またいつもの見切り発車ですね…」
テミンから一気に興味が失せたのがわかった…
「で、俺、考えたんだ…」
「何ヲ…?」
栗色の髪を指で玩びながら
ため息まじりに馬車の窓の外を眺めながら
どうでも良さそうに相槌をうつテミン…
態度悪っ!
でも、テミンてば
オコジョみたいで可愛い!
まぁいいか…
なんだかんだコイツには弱い俺…
「俺に足りない物って何だろうって…
だってさ…
俺って何でも持ってるじゃん…?
ある意味完璧じゃん?」
「…ソウデスネ…」
「何、その棒読み?」
「あ…気になりました?」
「…可愛くねぇ…」
やっぱ…さっきのオコジョ発言訂正!
「ナンナンデスカ?
ユノユノ様ニ足リナイ物ッテ…」
相変わらずの棒読み…
「もういいよ…」
テミンからプイッと顔を背ける…
「拗ねちゃいましたか…?」
広々とした馬車の中だというのに
俺様の隣…肩と肩が触れる程の位置に座り直した…
「近いって…」
「…怒った顔も可愛い!」
俺の脛に自分の脛を絡めた…
「テミン…?」
俺の腕を自分の胸に抱き寄せ上目遣いで見上げた…
。
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