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小さな小さな屋敷の中、二つの足音が響く。 軽くは無いが確かな足音と、カッカッと軽快な足音。 一聴では男女のものと思えるその足音は、やがて集合して止まる。 呼吸音さえも無くなった様に、屋敷の中は静まり返る。 程なくして『ギィ』っと扉が開く音が響いた。 「…どの程度の進捗だ?」 重く強く響いた声はアルトの音域だが、男の様にも女の様にも聞こえる。 「…滞り無く」 一秒ほどしてから、別の声が響く。 軽く、だが芯のある声。 先程の声よりはいく分か高く、透明度が高い。 「そうか、ではまた生きて会おう」 変わらぬ強さで女は応え、躊躇いもなく一つの闇の中に消えた。 「…あなたも無事で居て下さい」 残る女から発せられた声に僅かに含まれる惜別の念も、感じ取られたのは一瞬であった。 そのまま、確かな足取りで女も別の闇へ消えた。 誰も居無くなった屋敷の中、息を吹き返した様に時計が進み始める。 そして闇は光に浸蝕され、姿を消した。
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