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「そう言えば、ラミアって旅人なのかしら」
出会ってから数ヶ月経つのに、今まで疑問も詮索もしなかった。
ラミアはただの同居人であって、それ以上でもなかったから。
「どうしよう、凄く気になる」
ヴォルティアの街はこの国の中心から2番目に遠い街。
国街へは歩いて一週間、馬車で3日あれば充分だ。
遠くは無いが近くもない街だ。
近くにあるのはトゥミル山だけ。
ようするに、普通の街だ。
一応、商業と農業で成り立っている。
「こんな街知ってるんだもの、何も知らない訳では無いのよね」
うぅん、益々ラミアの事が気になる。
アタシの『稼業』知ったらどんな顔をするかしら。
絶対に嫌われるから、言えないけど。
「それにしても、何でいつも球体の中に入っているんだろう」
あぁ、知りたくてどうしようもない。
でも、アタシから話し掛けたらアタシの負けだから、それは悔しいしなぁ。
ベッドの上をのたうちまわるアリエルは、一見すれば変質者以外の何者でも無かった。
初めての他者への好奇心。
それが人外の者であろうと、自分を求めてくれた事には変わり無かった。
「どうしよう、アタシおかしいのかな?」
興味を持つ事を知らなかった訳ではないが、その答えに出会う事の無かったアリエルにとって、その欲求は生きる上での新しい刺激であった。
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