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「だって、い~っつも『小娘』って、年上なのかなって思うのも無理はないわよ」
そんなに怒らなくて良いじゃない、と続けられてふと我に返る。
これでは認めたと同じではないか。
『わ、我は言葉使いが良くないと思っただけだ』
「い~え、あれは図星だった時の反応だわ」
さっきまで気後れしていたと言うのに、弱味を握るとすぐにこれか。
確かに我も大人気なかったかも知れんが、こやつは本当に子供だな。
『下らん事に執着するな、小娘で充分ではないか。
ムキになる様も淑女には程遠い』
それに、まるで彼女の様で。
正直な気持ち、からかいたくなる時もある。
「あったまきた。
絶対に『アリエル』って呼ばせてやるんだから」
アタシにだって名前があるんだから、等と愚痴ってはいるが、心なしか少し距離感は縮まった気がする。
思えば、小娘を見ていて朗らかな気持ちになったのは、今日が初めてでは無いだろうか。
『出来るモノならやってみろ』
下らん事で言い争える幸せ。
今はまだ、このままで良いだろう。
直に、こんな日々を過ごす事は無くなる。
だから、神よ今はせめてもの安息を。
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