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爽やかな風と強い陽射しが気持ちいい。
部屋に飾ってある野花が嬉しそうに背を伸ばす。
小さな花瓶に収まる大きさなため、鑑賞様には程遠いが、無機質な部屋には丁度良い。
水を差し替えられた野花は心なしか強く凛としている。
部屋の主人は細身の女性であり、腰まで伸びていそうな長い髪を纏めて結い上げているため、首もとや、綺麗に剃りあげられたうなじが露になる。
髪型をイメージするなら、団子といった感じか。
足取りは重く、何やら物思いに更けているようだ。
部屋にはもう1つ気配がある。
漂うように存在しているそれは、白く丸く、揺らめいており、まるで真昼の太陽の様だ。
白い球体は女性を『小娘』と呼び、女性は『ラミア』と呼んでいる。
『小娘よ、どうしたのだ?少しばかり元気が無いようだが、体調でも悪いのか?』
呼び方はキツイが、呼び掛けは優しく、小娘と呼ばれた女性を気遣っているのが良く分かる。
「ありがとうラミア。ただ、少し悩み事があるだけよ」
作り笑いを浮かべながら女性は微笑んだ。
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