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『悩み事?』
珍しい、小娘が悩む素振りなど見た事も無かったからな。
一体どうしたのだろうか?
食中り、貯金があまり無いこと、孤独による憂鬱、将来への不安、色々と思い当たる節が多すぎて、まともなアドバイスも出来んな。
「…あなた、今絶対に失礼な事を考えたでしょ。」
いかんいかん。こやつは鋭い人間だったな。
『我はその様な事を考えた事はないぞ』
ジト目で睨まれようが我には関係ない。
人間ごときに我の目が何処にあるか当てられる訳がない。
故に我が押し負ける事も無い。
「アナタ、都合が悪くなると黙るわよね」
これはこれでバレて居るのかも知れんがな。
『そんな事より、悩みとは何だ』
「あら、今度は話しを逸らすのね。まぁ良いわ、どうって事無いし。少し感傷に浸ってるだけ」
さっきよりも声のトーンが落ちているのが明らかだ。
間違いない、小娘は何かに悩んでおるな。
『そうか、で、感傷の原因は何なんだ』
「乙女の悩みを無理に聞き出すなんて、恥じらいはないの」
そこまで思ってないであろうに、あえて口にする辺りが憎たらしい。
『乙女と言える年は過ぎたのではないか』
「失礼ね!アタシはまだ19なのよ」
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