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気まずい沈黙が、部屋の空気を支配する。
外の明るい光が差し込む事が唯一の救いのようなものだ。
喋りたくない過去を聞く気にはなれないが、小娘は特別だ。
この娘は何かを隠している。
それも、この先に大きく影響しそうな何かを。
『無理にとは言わん。小娘が話してくれるなら、で良い』
本当は今すぐにでも探りたい所だが。
「…居ない、とだけ言っておくね。アタシはずっと独り。それだけ」
『…ありがとう、無理を言って悪かったな』
どうにも、過去に触れたくないらしい。
だが、『咎人』相手に逃げきれるものなのか?
捕食に長けているのは明確だろう。
『咎人』を見て生き延びたのは各国の王族のみだと聞いている。
それも、家臣を犠牲に逃げ延びたとな。
もしかしたら、運良く『咎人』に見つかることも無く生きてきたのかも知れないが。
「…ラミア、アナタはアタシがどんな人間でも側に居てくれるの?」
なんて弱々しい声だ。
絶望に満ちている。大方、私が離れていくとでも思っているのだろうか。
『…どうかな?』
肩を落とした小娘の顔が、更に生気を無くし、まるで空気に溶け込みそうだ。
『小娘が望むなら、離れんでも無いかな』
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