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あの後、洗濯物を干そうと思ったのだが、この家には重大な欠点がある事が判明した。
『…窓が、無い』
何故だ、光りは入って来ている。
つまり、窓が何処かに無くてはならないのだ。
確かに、ランプはあるが、特に点いている様には見えない。
「だから、窓があったところでどうやって干すのよ?」
『何故窓が無いのだ!?部屋干しなのか!?常に部屋干しなのか!?言え小娘っ!!』
もしかして、小娘は衣服を洗わないのか?
いや、乙女と公称するぐらいだ、匂いを気にしないなんてあり得ない。
何よりも乙女とか、そんなの以前の問題だ。
「…何を興奮してるの?」
『部屋干しの、生乾きの臭いが嫌いなんだぁ!!』
臭いのだ、とにかく臭いのだ。
雑菌を通り越して、まるで何かの細菌兵器が生まれつつあるのでは無いかと思うぐらいに。
「…アナタ、なんか人間みたいな取り乱しかたね」
『小娘が異常なのだ!!』
最早、我にも感情の制御が効かない。
嫌な過去が甦る、あの時はもっと散々な目に遭わされた。
それが今まさに此処で再現されるかもしれないのだ。
「大丈夫よ、二階に行けば干す場所あるから」
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