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「あぁ、ごめんね。
でも、ベタつくのは生理的に我慢出来ないのよ」
ワザとらしく手で髪を掬い、女は目の前の相手に対して平謝りした。
「ってか、ラミア。
あなた暑くないの?」
言って目線を向けた先には『ラミア』と呼ばれた相手が居る。
『暑い訳が無かろう。
我は精神体だと何度言えば分かる?
この姿も仮初めに過ぎん』
ラミアはあくまで無表情に、冷静に呆れを示す。
「そうですか、アタシは暑いの。
分からないなら文句言わないで」
何とも理不尽な答え。
対するラミアは『ふん』と鼻を鳴らすだけに留まった。
「じゃあシャワー浴びて来るわ」
反応の薄いラミアに興を削がれた女は立ち上がり浴室へ向かう。
『人間とは何とも不便だな』
「あら、シャワーは女性の憩いの時間よ」
ガチャリとドアを開けてから、女はそう言い放ち浴室へ消えた。
『前任と比べると男のようだがな』
一人(?)になったラミアは誰に言う訳でもなく、零した。
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