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「意味がわからない」
僕がそう言うのも無理はない。だって、今の目の前に広がる光景は信じ難いものだ。だけど、いくら信じたくはないと思っても目の前にある現実は否定出来ないわけで。
「あ、神谷さん、おかえりなさぁい」
仕事が終わって家に帰ると小野君が居る事は、決して少なくはない。寧ろ居ない方が不思議に思うくらいだ。
でも、今日は違う。一人しかいないはずの(にゃんこ先生を入れれば一人と一匹になるのだけれど)部屋に黄色いド派手なつなぎを着た男の人と一緒に居る小野君。
「?…え、えっと?」
「どうしたんですか?神谷さん」
どうしたじゃねぇよっ!何普通な態度で隣の男と喋ってんの。しかも、ここ僕ん家だし、えっ?何我が物顔みたいな顔して入れてんの。馬鹿じゃねぇの!と早口で言いたい衝動を必死に抑えて小野君に問う。
「あ、いや、…この人誰なの?小野君、」
はぁ、と小さく溜め息をついた後、「何言ってるんですか!ヒロCですよ!ほら、あの俺達が漫画になったってあれ?」
何でここに?今度は僕が溜め息をつく。小野君って本当に馬鹿なんだね。
「あははは、凄いね!」
と何故ここに居るのか、どうやって来たのか、分からないヒロCが笑いながらそう言った。
「僕も結構、酷いとか言われてるけど、浩史も結構酷そうだね」
まさか、自分のキャラにそんな事を言われるなんて。ああ、なんか、僕頭痛くなってきた。
少し頭を冷やそうと、小野君とヒロCから離れ、寝室へと向かう。
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