僕のご主人様はとてもとても寂しがりやな人なんだよ。

2/3
前へ
/181ページ
次へ
「ねぇ、にゃーさん。」 ご主人様は時々、悲しい表情で、悲しい声で僕の名前を呼ぶ。 「どうして、僕は小野君なんかを好きになっちゃったんだろうね。」 小野君?…あぁ、最近、やたらこの家にくる人か。ご主人様は小野君っていう人が好きなの? 「小野君は男で、もちろん僕も男。ねぇ、にゃーさん、僕、もう辛い…よ」 そう言って膝に顎を載せて縮こまるご主人様。目からは一粒の雫がこぼれ落ちる。 泣かないで―。僕がいるから泣かないでよ。 ペロリと頬を舐める。僕にはこうやってでしか慰められないから。 「…ははっ、くすぐったいよにゃーさん。」 あっ、笑った。やっぱりご主人様には笑顔が似合う。僕の大好きな笑顔…、どうやればたくさん見れるようになるだろうか。 ああ、そうだ。 ご主人様、あなたの寂しさが無くなるように僕頑張るから。だから―、もう泣かなくたっていいよ? .
/181ページ

最初のコメントを投稿しよう!

287人が本棚に入れています
本棚に追加