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小野side
あれから一週間。神谷さんとは電話もメールも話すことさえもしていない。
どうして神谷さんはあんなに怒ってたんだろう?何が、何が原因で。
「神谷さん!」
「…っ!」
また逃げられる。仕事で会うたびに話し掛けると体をびくりと揺らして逃げる。明らかに避けているのが分かる。どうして?どうして逃げるんですか。
「待ってください!神谷さん、何で逃げるんですか。」
「別に逃げてなんか…っ」
「じゃあ、何で俺を避けるの?何かあるんでしょう」
あそこの会議室に入りませんか?
そう言うと小さく頷かれる。良かった、これで逃げられたら俺。会議室に入るなり神谷さんを抱きしめた。
「小野くっ!」
「……。」
「はな…してくれない?」
「……嫌だ。」
「本当に離して!今はこういうの嫌だ…、ねぇっ!」
「どうして?何で嫌なの?ねぇ、神谷さん。俺は神谷さんのこと、好きです。どうしようもないくらい、だから、理由もなく避けられるのは辛い。」
「小野く…ん、
僕も好きだよ、小野君の事。」
「だったらどうして…」
「だから、だよ。あの日、小野君の体から女の人の匂いがしたんだ、それで…小野君にはやっぱり、女の人と居た方がいいって…、小野君の近くに居たらきっと僕は…っ」
「神谷さん。貴方はバカですか?」
「なっ!?俺はお前のことを思って「神谷さん、それなら、俺のことを思うなら、俺の傍に、ずっと俺の傍に!」
「いいの?…僕がそばにいても…っ、」
「もちろんです、神谷さんが居れば俺は幸せです」
不安だったんだね、神谷さんも。でもね、神谷さん?不安なのは神谷さんだけじゃないです。俺だってね、不安なんだよ?貴方は男性にも女性にもモテるから。
絶対離さないから。
(もう、女の人と必要最低限話さないで。くっつかないでよ?)
(はい、分かりました)
(嘘だよ、そんな風に小野君を縛りたくないし)
(俺は全然いいのに、なんなら首輪してもいい!)
(何それw小野君気持ち悪ーいw)
(あはははっ)
やっぱり神谷さんには笑顔が一番似合う。…でも、たまには泣き顔もみたいな…なんて。
end.
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