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「かっ、神谷さん!?」
「小野君、寝転がって」
「はい?」
何を言ってるんだろう。寝転がって?ベッドの上に?俺と神谷さんは恋仲同士なわけで寝転がるってのはアレをする以外にないわけで。これはもしかして、もしかしなくても神谷さんからのお誘いなのか!?
それならそうと一言言ってくれればいいのに!なんて心で思いながらベッドに横になる。俺が横になってすぐに神谷さんも横になる。
「神谷さん…」
そう囁き、神谷さんの唇へ俺のを重ねようとした時、神谷さんの手が邪魔をして出来なかった。神谷さん?と問い掛けると、違うんだ、小野君。その…、と何かを言いづらそうに口を開いた。
「何かあったの?」
優しく問い掛ける。それと同時に神谷さんが俺に抱き着いて来た。
「小野君…、怖い」
怖いんだ、と何度も繰り返す。声も少し震えていて、そんな神谷さんをぎゅっと抱きしめる。
「ありがと、小野君」
人の温もりに触れて安心した神谷さんはおやすみ、とだけ言い眠り始めた神谷さん。状況を掴めずにいたけれど、神谷さんが怖いと思った時、他の誰かではなく俺を頼ってくれたことが嬉しかった。
弱々しい神谷さんも見られたし、俺としては美味しい一時だった。
朝起きて神谷さんから聞いた話によると、どっきり番組でしてた『お化けアプリ』のお化けが予想以上に怖かったらしい。
なんて、可愛らしい理由なんだろう。そう心で思ったのは神谷さんには内緒!
-end-
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