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小野君が天気予報を見ながら僕にこう言った。「神谷さん、台風が近づいてるらしいですよ。飛ばされないよう気をつけてくださいね?」最初僕は台風が近づいてるんだーなんて暢気なことを考えていた。
「…はっ?」
ここで今、小野君が言った言葉に変なことが混ぜられていたのは僕の気のせいだろうか?いや、気のせいではない。
「飛ばされないようにって、人間そうやすやすと飛ばないから大丈夫だよ」
そう言うと小野君の顔が真剣な眼差しに変わった。何を言われるかと生唾を飲んだけれど、小野君から出た言葉は本当にくだらなかった。
「何、言ってるんですか!神谷さんみたいな細い人が台風の強い風に当てられて飛ばないわけないじゃないですか!」
どうしよう、コイツ。
もう僕にはどうしようも出来ない。
-END?-
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