可笑し(お菓子)の国のアリス

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あの頃から、両親は共働きだった。 俺と兄貴は、いつも二人だった。 5歳の誕生日に、兄貴は俺が寂しくないように絵本をくれた。 兄貴が好きだった『不思議の国のアリス』。 寝る前によく読んでもらっていた。 兄貴が読むアリスは、ちょっと本編とはちがくって、とても楽しかった。 いつも内容が変わって、毎日すごく楽しみだった。 そんな兄貴がくれた大切な絵本だ。 わざわざ絵本の後のページにメッセージを書いてくれた。 『駿(しゅん)、誕生日おめでとう』 7歳にしては綺麗な字で書かれている。 兄貴は習字を習っていたっけ。
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