喜びの章Ⅰ

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「何?教えてよ」 ハナはそう言いながらゆずの膨らませた頬を突っついた。 ぷすっと音をたて、空気が口から抜けていく。 「もぉ、実は私ですねぇ、胸が大きくなったんですよぉ」 ゆずは突っつかれた頬を擦りながら、誇らしげな顔を浮かべて強調するように胸を張る。 「はぁ?」 少し間抜けな声をあげながら、ハナは彼女の胸を見つめる。 そしてじっくり見つめた後、首を横に傾けた。 「いやぁ、ゆずさん。相変わらず小さいっす」 「がーん…」 ゆずは両手で頭を抱え込み、口を大きく開けている。 「ってかそれはネタなの?笑った方が良いわけ?」 ハナはくだらないといった様子で、冷蔵庫へ向かい、中から水を取り出した。 「本当なんですよ。やっとBがピッタリになったんです…」 「あんた本当バカだね。もとからそのサイズのブラ着けてるんだから服の上からじゃ分かるわけないじゃない。サイズが上がったならまだしも…。」 「うぁ~!」 ゆずはそのまま膝から倒れ込み、手を床に着けて落ち込んでいた。 ハナは気にする様子もなく、先程の水を飲みだしている。 「でも…大きくなったのは事実です。いつかハナさんだって追い越して…」 「ちなみに私はFだから。」 その言葉にゆずは何も言えずに固まるだけだった。 ハナはそれよりと顔をしかめてゆずを見つめる。 「あんた昨日は大丈夫だったの?」 ゆずは先程の事をまだ気にしているのか、唇をつきだしたままだった。 「こらっ。ゆず」 ハナは子供を叱る母親のようにゆずを睨み付ける。 「はい。大丈夫でした」 ゆずは子供の様に落ち込んだ様子で半ば泣きそうな顔をしている。 その様子を見たハナは頭に手を置いて撫でた。 *
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