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鼻筋が通った綺麗な顔。
暗めの金色をし、リボンを型どり大きく盛られている髪。
そして背が高く、スリットが大きく開くドレスからは綺麗な脚線美を覗かせている。
そんな愛莉の瞳は鋭くハナに突き刺さる。
「ハナ、いい加減にしろよ。」
「田辺さんのことですか?それならあたしに文句を言われても…」
愛莉はハナが話しているにも関わらず、彼女の髪を掴んだ。
「うるせぇよ。あんたのせいで私の指名が6人も減ったんだよ。今さっきも田辺に指名を変えたいって言われたんだよ。」
愛莉の怒りは止まらない。髪を掴んだ手に力が入る。
「他のやつはどうでも良いよ、でも一番カモにしてた田辺まで…」
瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる。
愛莉が泣いてしまうのも無理はない。
この業界では指名がなくなるのは大きな痛手となる。
なぜなら一定の指名を確保しなければ、単純に自分のために使われるお金が減るのため給料に響く。
まして高級なプレゼントを貰っている場合は、それもなくなる。
田辺を一番のカモと言っていることから、店やプレゼント等で大金を使わせていたのだろう。
しかし、何より愛莉が傷ついているのは1人の女としてのプライドなのかもしれない。
「だからあたしに言われても知らないんだよね。」
ハナは髪を掴まれている手を力強く振り払い、乱れた髪を手櫛で整えた。
「何もしてないあたしに指名を変えるのは、あんたに魅力がないからじゃないすか…愛莉さん。」
その言葉に愛莉は目を見開いて固まってしまう。
「正直に言うけど、愛莉さん…無理しすぎ。怖いくらいだっての。」
「な、なに言ってんのよ…」
愛莉は顔も体も固まったまま、震えた声をしている。
その様子を見たハナは一瞬悲しそうな顔をし、俯くがすぐに表情を戻し愛莉を見つめた。
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