喜びの章Ⅰ

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鼻筋が通った綺麗な顔。 暗めの金色をし、リボンを型どり大きく盛られている髪。 そして背が高く、スリットが大きく開くドレスからは綺麗な脚線美を覗かせている。 そんな愛莉の瞳は鋭くハナに突き刺さる。 「ハナ、いい加減にしろよ。」 「田辺さんのことですか?それならあたしに文句を言われても…」 愛莉はハナが話しているにも関わらず、彼女の髪を掴んだ。 「うるせぇよ。あんたのせいで私の指名が6人も減ったんだよ。今さっきも田辺に指名を変えたいって言われたんだよ。」 愛莉の怒りは止まらない。髪を掴んだ手に力が入る。 「他のやつはどうでも良いよ、でも一番カモにしてた田辺まで…」 瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる。 愛莉が泣いてしまうのも無理はない。 この業界では指名がなくなるのは大きな痛手となる。 なぜなら一定の指名を確保しなければ、単純に自分のために使われるお金が減るのため給料に響く。 まして高級なプレゼントを貰っている場合は、それもなくなる。 田辺を一番のカモと言っていることから、店やプレゼント等で大金を使わせていたのだろう。 しかし、何より愛莉が傷ついているのは1人の女としてのプライドなのかもしれない。 「だからあたしに言われても知らないんだよね。」 ハナは髪を掴まれている手を力強く振り払い、乱れた髪を手櫛で整えた。 「何もしてないあたしに指名を変えるのは、あんたに魅力がないからじゃないすか…愛莉さん。」 その言葉に愛莉は目を見開いて固まってしまう。 「正直に言うけど、愛莉さん…無理しすぎ。怖いくらいだっての。」 「な、なに言ってんのよ…」 愛莉は顔も体も固まったまま、震えた声をしている。 その様子を見たハナは一瞬悲しそうな顔をし、俯くがすぐに表情を戻し愛莉を見つめた。 *
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