第八話 鬼はただ、普通の愛を求めただけで

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 鬼崎さんを見ていると、どんどんと胸が苦しくなるように感じてくる。  どうして、こんなに苦しいのだろうか? (わからないよ……これ、なんなんだろう?おばあちゃん)  ふと、死んだ祖母を思い出しながら、祖母の写真に視線を向けて、問いただしてみる。  けど、祖母は既に他界しているし、この場に居るわけでもない。  答えてくれるわけでもないし――僕は何だか居辛くなってしまったので、急いで立ち上がった。 「あ、あの……僕ちょっと買い物行ってきますね!」 「ああ…………ん?ミサキ?ちょい待ち」 「……え?」  突然呼び止められたので思わず振り向いてみると、鬼崎さんも同じ様に立ち上がり、僕に向かって歩いてくる。  そして、そっと僕に手を伸ばし、触れたのは僕の短い髪の毛だった。  髪の毛を何度かいじった後、鬼崎さんは僕に向かって口を開く。 「絡まってたからさ……ほれ、これでいいだろう」 「あ……」  鬼崎さんの顔が、近くまである。  そう思い続けていると、胸が痛くなってきた。  心臓も高くなっていくように感じながら、僕は鬼崎さんの赤い瞳に視線を向けていた。 「……どうした?」 「え……あ!な、何でもありません!!じゃ、じゃあ行ってきます!!る、留守番よろしくお願いします!!!」 「お、おう……?」  多分、僕の行動に少々不審に思ったのかもしれない。  僕はまるで逃げるように扉を開けて外に出て、残された鬼崎さんは呆然としているような顔をしているなんて、気づくはずなく。  外に出た僕は多分今、顔が真っ赤に染まっているに違いない。  何度かうなるような声を上げた後、僕は近くのスーパーまで足を伸ばそうと動き出した時だった。
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