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鬼崎さんを見ていると、どんどんと胸が苦しくなるように感じてくる。
どうして、こんなに苦しいのだろうか?
(わからないよ……これ、なんなんだろう?おばあちゃん)
ふと、死んだ祖母を思い出しながら、祖母の写真に視線を向けて、問いただしてみる。
けど、祖母は既に他界しているし、この場に居るわけでもない。
答えてくれるわけでもないし――僕は何だか居辛くなってしまったので、急いで立ち上がった。
「あ、あの……僕ちょっと買い物行ってきますね!」
「ああ…………ん?ミサキ?ちょい待ち」
「……え?」
突然呼び止められたので思わず振り向いてみると、鬼崎さんも同じ様に立ち上がり、僕に向かって歩いてくる。
そして、そっと僕に手を伸ばし、触れたのは僕の短い髪の毛だった。
髪の毛を何度かいじった後、鬼崎さんは僕に向かって口を開く。
「絡まってたからさ……ほれ、これでいいだろう」
「あ……」
鬼崎さんの顔が、近くまである。
そう思い続けていると、胸が痛くなってきた。
心臓も高くなっていくように感じながら、僕は鬼崎さんの赤い瞳に視線を向けていた。
「……どうした?」
「え……あ!な、何でもありません!!じゃ、じゃあ行ってきます!!る、留守番よろしくお願いします!!!」
「お、おう……?」
多分、僕の行動に少々不審に思ったのかもしれない。
僕はまるで逃げるように扉を開けて外に出て、残された鬼崎さんは呆然としているような顔をしているなんて、気づくはずなく。
外に出た僕は多分今、顔が真っ赤に染まっているに違いない。
何度かうなるような声を上げた後、僕は近くのスーパーまで足を伸ばそうと動き出した時だった。
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