序章 管理人緑真ミサキ

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 ここのアパートの住人の人たちは、死んだ祖母から少しだけ聞いていた。  変人だが、面白い奴らという言葉が多かった。  だが、最初に出会った鬼崎さんは別に変人にも見えない――不良っぽく見えてしまうというのは内緒だが。  特に鬼崎さんの赤い髪、赤い瞳は印象的だ。  その髪は染めているのか、その瞳はカラコンなのか、正直不思議だ。 「……なんだ、俺の顔をジロジロみて」 「あ、いえ……なんでも……」  この事も言わないでおこうと決める僕だった。  すると鬼崎さんは一つ息を吐いた後、赤い瞳が僕を捕らえる。 「……おい、ミサキ」 「は、はい!(呼び捨て!?)」 「……お前、こんな話信じるか?」 「え?どんな話ですか?」  一体どんな話になるのか、正直楽しみだった。  真剣な表情をしている鬼崎さんに視線を向けて、僕も真剣な顔をしてその答えを待つ。  だが彼が言った言葉は信じられない言葉だった。 「お前、俺たちが『妖怪』っつー生き物だったら、どうする?」 「………………え?」  突然、間の抜けた言葉が出てしまった。  今、この人はなんて言っただろうか?  妖怪ってあの妖怪?  よく漫画とかに出てくる、あの妖怪?  話が飛びすぎて、全く理解不能状態だ。  脳がパンクしそうになりながらも鬼崎さんを見る。  彼の顔を見る限り、全く嘘を言っているようには見えなかった。  けど、簡単に信じられるわけがない。 「……からかってるんですよね?」 「からかってねーよ。これ、マジ」 「…………えっと……僕、どういう反応すればいいんでしょうか?」 「……とりあえず、『あはは!まさか、うっそだー!』って言う反応をすればいいんじゃないか?」 「突発で、その勢いすら、忘れてしまいました……」
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